Illustratorで画像トレースを行う手順やコツを解説!

Illustratorで画像をトレースしてベクターデータに変換する手順やコツを詳しく解説します。ベクターデータとは、拡大縮小などの編集を繰り返し行っても輪郭がぼやけたり画像が粗くなったりすることが無いデータのことです。ロゴやイラストなどの画像をベクターデータに変換しておくことで、さまざまなデザインに転用しやすくなります。
また、画像トレースをさらにうまく行うためのコツや機能もあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
Illustratorにおける画像トレースの手順
早速、Illustratorで画像のトレースを行う手順を解説していきます。異なる操作方法でも同じ結果を得られる工程などもあるので、その場合は好きな方法をお試しください。
【手順1】Illustrator上にトレースしたい画像を配置する
まずは、Illustratorを開いてトレースしたい画像データを配置しましょう。デスクトップやフォルダから画像をドラッグ&ドロップでアートボード上に直接取り込むか、上部のメニューバーから「ファイル」>「配置」を選択し、表示されたウィンドウから該当の画像を選びましょう。
・ドラッグ&ドロップでアートボード上に直接取り込む方法

・メニューから取り込む方法

【手順2】画像を選択してコントロールパネルの「画像トレース」をクリック
取り込んだ画像を選択した状態で、コントロールパネルにある「画像トレース」ボタンを選択します。コントロールパネルがお使いのIllustrator上で表示されていない場合、メニューの「ウィンドウ」>「コントロール」で表示することができます。

トレースする画像のサイズなどによっては、処理に時間がかかる可能性があることを知らせるウィンドウが表示されることがあります。続行しても問題がない場合は、そのまま「OK」を押して進めましょう。

処理が自動で進み、完了するとトレース結果が確認できます。

なお、この工程はコントロールパネルの「画像トレース」ボタンだけでなく、メニューの「オブジェクト」>「画像トレース」>「作成」からでも実行可能です。どちらでも同じ結果になるので、好きな方法を選びましょう。

【手順3】「拡張」を選択してトレース結果からパスへと変換して完成
表示されたトレース結果に問題が無ければ、パスへの変換を行いましょう。トレースされたままの状態のデータをパスに変換することで、Illustrator上でさまざまな編集が行えるオブジェクトになります。
パスへの変換は、コントロールパネルの「拡張」というボタンから行えます。

変換後すぐは全てのパスがグループ化されまとまった状態になっています。グループ解除をして任意のオブジェクトを操作しましょう。これで画像のトレースが完了です。
なお、画像データが複雑なほど、ベクターに変換した時のパスの数も多くなりがちです。パスが多いと作業がしにくかったりファイルが重くなったりする可能性があるため、必要に応じて「パスの単純化」を行いましょう。
メニューから「オブジェクト」>「パス」>「単純化」を選択すると、パスの単純化を行うためのパネルが表示されます。「プレビュー」にチェックを入れて、スライダーでパスの数を調整しましょう。


画像トレースをさらにうまく行うためのコツ
画像トレースをうまく行うコツは、Illustratorに備わっている機能をうまく活用することにあります。先に解説した手順通りでも基本的な画像トレースはできますが、よりクオリティを求める場合は以下も参考にしてみてください。
トレース結果の表示方法を変えてトレース結果を確認できる
トレースを実行して結果が表示された段階(先に紹介した手順2の段階)で、コントロールパネルの「トレース結果」というボタンを押すと、プルダウン形式のメニューが表示されます。これらのメニューによって、トレース結果だけを表示するのではなく、元の画像の状態と一緒に表示するなど、表示方法を変更することができます。

それぞれどのような状態で表示されるかは以下を参考にしてみてください。

「トレースプリセット」のプリセットでさまざまなトレース結果を選べる
「トレースプリセット」とは、あらかじめ備わっているプリセットを選ぶことで、画像トレースをさまざまな結果に変換できる機能です。コントロールパネルの「画像トレース」ボタンの右に下向きの矢印マークがあるので、クリックするとプルダウンでメニューが表示されます。

トレースプリセットのそれぞれのトレース結果は以下のようになります。

トレース結果は自分で細かく調整することもできる
ここまで紹介してきたトレースの手順や機能は、基本的に自動でトレース処理がおこなわれていますが、トレース結果は自分で細かく調整することも可能です。先の手順2で画像トレースを行う際、コントロールパネルからではなく「ウィンドウ」>「画像トレース」を選択すると、画像トレースのパネルが表示されます。

このパネルに表示されている各項目を調整することで、より希望するイメージに近づけることができます。ただし、元々自動でおこなわれている工程を自分の手で行うことになるので、調整が難しい場合や時間と手間がかかる場合がある点には留意しておきましょう。なお、画像トレースのパネルを使用する場合は、あらかじめ「プレビュー」にチェックを入れて置くのがおすすめです。調整した結果を確認しながら編集が行えます。

また、この画像トレースパネルは、自動で画像トレースを行ったあとでも使うことができます。コントロ―ルパネルの「トレース結果」で、近くにあるウィンドウのアイコンから、画像トレースパネルが開きます。

まとめ
画像のトレースは、画像や写真しかデータがないものをデザイン用に扱いやすいデータに変換できる機能のため、デザインのあらゆる場面で活用されています。
自動で処理できる方法もあり簡単に行える一方で、結果の確認手段やプリセット、細かい手動での調整など、こだわれば手を加えられる部分も多いので、より理想の形で画像トレースができるように少しずつ挑戦してみてはいかがでしょうか。
なお、Illustrator上で画像をトレースせずにそのまま扱う際には、画像の「埋め込み」という操作が必要になるケースが多いです。画像の埋め込みとその手順については以下のコラムをご覧ください。
画像埋め込みについてのコラムを見る